昨年あたりからやたらと「あなたの絵は素晴らしい。NFTで購入は可能ですか?」というメッセージが毎日の様に届く様になりました。「あなたの3枚の絵をそれぞれ8ETH(仮想通貨)で買いたいです。」と言った内容を受け取った方も多いのではないでしょうか?
今日のレートで1ETHは$1874なので、8ETHと言ったら日本円で約210万円。それを3枚なら600万円!! それは大金だと一瞬舞い上がる人も多い筈。でもそれがもし詐欺だとしたらどうします? 今回は皆さんが詐欺に合わない為に、見極め方をお話しします。
昨年の今頃、私はNFTの仕組みも、仮想通貨の事も聞いた事はあるけど程度で何も知りませんでした。でも世の中そんなに甘くない事はこれまでの人生でたくさん授業料も払ったし、何となく分かっていました。それで、このさい話に付き合って、何がどうなっているのかを調べる事にしたのです。
ステファニーは、とても熱心に誘ってきて、私が仮想通貨の事も初めてだしと言うと、仮想通貨の口座の作り方からレクチャーしてくれました。言葉使いも丁寧で、レスポンスも早く、とても良さそうな人にも思えて、詐欺でない事を願ってもいました。彼女は詳しく説明してくれて、初めての仮想通貨の口座が完成。承認が下りる期間の約一週間の間も毎日こまめに連絡してくれます。$1500ぐらい入金した方が、後々Gas Feeにも使えるからいいよとのアドバイスも頂きました。そもそもGas Feeって何??
絵画の売買はETHという仮想通貨を使う事が多いとの事で、ETHにとりあえず$1500入金した後、彼女が送ってくれたNFTの売買サイトに、彼女が選んだ私の絵を投稿してくれと言うので、半信半疑で揚げてみました。すると、直ぐにでも買いたいので、早くGas Feeを払ってミントしてくれというのです。ミントって何?
ミントとは掲載が完了する事を意味しました。ミントさせるには、掲載料としてGas Feeを支払うのですが、それは既定の金額では無く、早くミントさせて上位掲載をしたいならたくさん支払い、ゆっくりで下位掲載でも良いなら少し支払えば良いと言う仕組みです。
ミントの仕方が分からないとステファニーに話すと、先日作ったETHの口座からウォレットと言う、いわば財布みたいな物を作り、そこからGas Feeとしてお金を送らないとミント出来ないと言うのです。額が高いほど早くミント出来る仕組みだと言うので、私は彼女に、「貴方はいつもGas Feeを幾らぐらい払っているの?」と聞くと、「私は通常$300~$500払うから、即刻ミント出来るのよ。」というのです。「そんなに払って、貴方には何が儲けになるの?」と聞くと、「NFTは再版が出来るから、それを第三者に売って、私は売価の15%を受け取る事が出来るの。だから直ぐに売れそうな絵を探してて、あなたの絵に辿り着いたの。」と言うのです。
当然こちらはこちらで、NFT販売サイトを探してみたり、Gas Feeに関して調べてみたりしました。
その結果、NFT売買の90%以上はOpenseaというサイトで行われており、他に10社ぐらいは世界で通用するサイトがあると知りました。
私の調べによると、OpenseaはGas Feeが必要無く、今は買い手側が支払うシステムも使える様になっています。昨年当初は未だ売り手が払うのが常でしたが、相場は$5~$10で、どうして$1500必要なのかがまず疑問となりました。
どうやって払うか教えるから、「ウォレットのアドレスを教えてちょうだい。」と言い出し、「それは流石に出来ないから。」と応戦。仮想通貨を購入した事だけは伝えたいので、当たり障りのないところをスクリーンショットして$1500をちらつかせ、その間に相手の指定するサイトの信頼性を調べる事にしました。
その時使ったのは https://www.scamadviser.com/ で、「貴方のサイトは詐欺サイト検索で詐欺率90%と出たので、使いたくない。」と申し出ました。
「Opensea だったら載せてもいいので、そちらに口座を作って私の絵を買って下さい。」と少し上手にこちらが出ると、「仕方ないわね。購入チームと話し合った結果、Openseaに口座を作り変える事になったから、少し待ってほしい。」とステファニーは諦めずに付いて来ました。なるほど、集団で詐欺を行っていると言う事の様ですね。
数日後、彼女からまた連絡があって、「口座を作り変えたので、こちらのサイトに載せて欲しい。」とまた別のサイトアドレスが送って来ました。「だからOpenseaじゃなかったら私は売らないって言ったよね?」と突き返すと、
「このアドレスに全部私のコレクションを移すのに、どれだけの時間とGas Feeを払ったと思うの?大損害になるから此処に載せろ。」と今度は逆切れ作戦です。「そんな事は関係ない、私はただOpenseaでしか売らないと言ったのに、他のサイトに載せかえたあなた自身の問題なんだから。」と終止符を打つことにしました。
しかも新しいサイトはホントに出来て数日の新サイトだとスキャムアドバイザーでの報告もあり、彼らの目的は自分達で仮想の販売サイトを作りGas Feeを払わせて、それを奪う手法だと分かったのです。単独犯では無くグループで行い、同様の詐欺を同じ定型文で送りつけている事、そしてそれを統括している、影のボスがいる事など、この時は色々と勉強になりました。有難うステファニー、1ヶ月程付き合ってくれて。
同様の誘いが来たら言ってみましょう。キーワードは、「私はOpenseaでしか売らないから。」
そのまま消えるのが7割です。
やはり詐欺でしたか! ガス台0.4ETH請求されました。JPYなら15万ぐらいでしょうか? 信じなくてよかったです。僕の作品が使用料だけで600万JPYのハズないですよね。