作品コンセプト
幼い頃から取り立てて自然に恵まれた土地で生活したことはないのに、いつしか自然をモ チーフとした作品を作るようになった。覚えているのは、道路脇の木の葉が擦れるザワザ ワという音や緑の匂い、体にあたるひんやりした風の心地よさ、大雨の前の空の色、近く の川の水面の光、コンクリートに映る夏草の影の濃さなどで、どれもごく日常的な自然と の接触に過ぎない。絵葉書にでてくるような風景とはほぼ無縁の生活であったが、こうし た些細な感動は体に染みついていて、それが作品の根っことなった。
たまに身近にある草むらなどをぼんやり眺めていると、そこに何かが潜んでいるような気 がしてならない。日本人的な自然信仰が私の中にも根付いているのかもしれないが、目に 見えない力のようなものが、地面や風や水の中でじっと息づいているように感じる。生ま れて、成長して、死んで、また生まれ変わって・・と絶え間なくその形を変えながら存在 している何かのいる場所を「garden of spirits(精霊の庭)」と名前を付けて、作品のコン セプトにした。輪廻転生を信じるわけではないが、もし人間やその他の生物に魂というも のがあれば、こんな自然の中で姿を変えながら生きているのかもしれないと思う。
私が惹かれているのは、自然の中で直感するそうした動的な存在感で、それが何なのか知 るための解が制作することであるように思う。目に映っている木や花そのものや、特定の 風景が、その求める存在の本質ではないと知りつつ、かといって、どうやって見つけるか その手立てもわからないので、思いつくままというか、ほとんどやみくもに筆を走らせて いる。そのせいか、初めのイメージとはかけ離れた作品になってしまうこともたびたびで ある。
幾度となく方向性が変わりながら、いつも自然のモチーフに落ち着くのは、自分にとって それが一番リアリティのある存在であるからだろう。現代人である私が自然に溶け込んで 暮らしているとは言い難いが、それでも身近な人の死に接するとき、人間も植物や動物と 同じ運命にあるとはっきり実感することがある。毎日繰り返される生の営みが、他の自然 の創造物のそれと等しいことが、素朴に信じられるようになった。その生死の変化の過程 に自分との接点を感じるとき、私の興味は尽きない。
制作過程について
日頃から自然の中に出かけていったときに写真を撮っています。主に木漏れ日や、日差 しの当たった植物、砂利道、水面などです。現在は自宅のすぐ近くに大きな森があり、 そこで撮影することが多いです。森をテーマにしたシリーズのベースとなる写真もそこ で撮りました。制作にあたってはそれら撮りためたのストックの中から、制作意図にあ うものを選びます。最初はグレースケールで描いて光と影のバランスを見ます。色を入 れていくときは、写真を撮ったとき・選んだときの直感的な感動の記憶を大事にしたい と思っています
個 展
2012 年 6 月 スペクトラムギャラリー(大阪) 二人展
2011 年 10 月 ドラードギャラリー(東京)
2011 年 5 月 スペクトラムギャラリー(大阪)
2010 年 2 月 ギャラリー・アット・ザ・ハイアットII (大阪
2009 年 2 月 ギャラリー・アット・ザ・ハイアットII (大阪)
2007 年 5 月 アートフォーラム三重(三重県総合文化センター)
1999 年 7 月 ギャ ラリー白 川 ( 京 都 )
1998 年 9 月 ハウジングセンター/ ニチネン主 催 ( 大 阪 )
1997 年 7 月 ギャ ラリーD E N ( 大 阪 )
1997 年 5 月 ギャ ラリー白 川 ( 京 都 )
1995 年 2 月 ウエス トハーバーギャ ラリー ( 米 ・ N Y 州 オイスターベイ )
グループ展 / 公 募 展
2014 年 11 月 ウィンターリュクス展(阪急百貨店メンズ館/大阪)
2014 年 4 月 Group Show (WAH センター/米・NYC)
2013 年 9 月 町屋芸術祭 HANART(はならぁと)(奈良)
2012 年 5 月 Spring Fling 展 (WAH センター/米・NYC)(審査員:Yuko Nii)
2011 年 5 月 Living with Art 展 (スペクトラムギャラリー/大阪)
2011 年 5 月 Art Salad 展(Soho アートギャラリー/大阪)
2010 年 10 月 創作表現者展(アートコンプレックスセンター/東京)
2010 年 8 月 “Water” ( Galleri Geitodden, フォルゲ、ノルウェイ)
2009 年 6 月 第 2 回日英芸術家交流グループ展(Lennox Gallery/英・ロンドン)
2008 年 10 月 Collective Contemporary Art Exhibition by Japanese Artists (Opera ギャラリー/ブダペスト・ハンガリー)
2008 年 7 月 釜山国際環境芸術祭(ウルスクド・アート・センター/釜山・韓国)
2007 年 5 月 アートフォーラム三重展(三重総合文化センター/三重)
2006 年 12 月 第 58 回 県展(三重総合文化センター/三重)
2005 年 8 月 ASKA 展(四日市市民文化会館/三重)
2004 年 10 月 中部春陽展 (名古屋市博物館/愛知)
2001 年 11 月 グループ展 (ギャラリーJUNO/米・NYC)
2000 年 11 月 グループ展 (AD&Aギャラリー/大阪)
2000 年 5 月 グループ展 (ギャラリーJUNO/米・NYC)
1999 年 10 月 CWAJ現代版画展 (東京アメリカンセンター/東京)
1998 年 9 月 あおもり版画大賞展 (青森)
1998 年 6 月 "Women's Work" 女性作家展 (UHLギャラリー/米・コロラド)
1998 年 5 月 第4回札幌国際現代版画ビエンナーレ(北海道立近代美術館)
1997 年 10 月 CWAJ現代版画展 (東京アメリカンセンター/東京)
1996 年 12 月 浜松市美術館版画大賞展(浜松市美術館/静岡)
1996 年 10 月 CWAJ現代版画展 (東京アメリカンセンター/東京)
1996 年 5 月 京展 紫賞受賞 (京都市美術館/京都)
1994 年 4 月 第7回ストックトン版画・ドローイング展(ハギン美術館/米・カリフォルニア)
1994 年 5 月 第6回グラフィノーバ国際版画・ドローイング展(オストラボスニアン美術館/フィンランド)
1994 年 5 月 1994年パシフィックステーツ版画展(ハワイ大学/米・ハワイ)
1994 年 2 月 第39回ロングアイランドの作家展(へクスチャー美術館/米・NY)
1993 年 9 月 "Three Women Printmakers" (サウスハンティングトン図書館/米・NY)
(キュレータ ー: Jeanne Brodsky)
1993 年 5 月 第38回 ロングアイランドの作家展(へクスチャー美術館/米・NY)
1993 年 4 月 "Looming Art and Literature" (シークリフギャラリー/米・NY)
受賞歴
2006 年 第 21 回 ホルベイン・スカラシップ
1996 年 京展 紫賞 (京都市美術館/京都市)
1995 年 招待作家/ゲスト講演(ブリッジポート大学/米・コネチカット)
1994 年 第 39 回ロングアイランドの作家展 入賞 (へクスチャー美術館/米・NY)
1992 年 スターン芸術家助成金(ロングアイランド大学/米・NY 州)
学歴
1993 年 5 月 ロングアイランド大学芸術学部芸術科大学院修了(米・NY)
1987 年 3 月 大阪教育大学教育学部美術科卒業
収蔵
WAH センター (米・NY 市ブルックリン)
その他、個人蔵など多数
アーティスト・イン・レジデンス
2007 年 9 月 長沢アートプログラム(淡路市)
2000 年 2 月 ニューヨーク・スタジオ・スクール・オブ・ドローイング (米・NY)